1-2 綴央くんと猫

#つおかのしか勝たん つおかの 小説
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「とーちゃく」

非常にリラックスした彼の声。
綴央くんは私とは違って、毎日ちゃんと勉強して、ちゃんと疲れてるんだろうなぁ…。
猫カフェも、「霞音と行きたい」よりかは「休憩がてらどっか出掛けようかなぁ
…猫カフェ行きたいな…でも男1人はきついよな…あ、霞音誘おう」という意識の方が圧倒的に多いのだろう。
というか、前者なんて微塵も思っていないに違いない。

「私、なんだかんだ言って猫カフェって初めてなんだよねー…。最近、近くの家が猫除け使い始めたせいもあって、生の猫もまともに見てないし。結構久しぶり」
「俺登下校の間によく見るけどな。下校の時だったら、立ち止まって寄り道するし」
「…帰路が短い私に対する嫌味ですか」
「いや、別にー?」

確信犯だなこいつ、絶対許さん。


「いらっしゃいませー、現在店内空いておりますのでお好きな席へどうぞー」

店内へ踏み込んだ私達を出迎えてくれたのは、店名のロゴがプリントされたエプロンを身に着けた女性。
至る所で猫が溢れ、他のお客さんも可愛い猫にメロメロ。
あー、この雰囲気がもう既に好き。
空気がまず可愛い。…お願いだから伝わってくれ。

「霞音、あっち。猫たくさん来るから」

腕を引っ張られて連れてこられたのは、大きな窓に隣接した席。
南側にあるのだろう、日差しがたっぷりと降り注ぎ、明るくて心地よい場所だった。
そういえば猫って、日向ぼっこ好きだよな。
なるほど、それでか。
綴央くん流石すぎ…。

「…ほら、おいで」

……え、皆さん聞きました??

「あー…かわい…」

綴央くんの声が甘すぎる…。
…って、せっかく猫カフェに来たんだから、今は綴央くんじゃなくて猫に集中しないと。
そっと、椅子のそばに寄ってきた子を撫でてあげる。
すると気持ちよさそうに鳴き声を上げるもんだから、私の心臓はいとも簡単に跳ね上がった。

「か、可愛い…!」

あー何この破壊力。
同じ地球に生きる生物として認識したくない。
てか何なら連れて帰りたい。そんなことしたら逮捕確定だから、妄想だけに留めておくけど。
家がマンションじゃなければなぁ…。
1人暮らしするような年齢になったら、まず真っ先に猫飼おう。決めた。
その未来、私が隣にいられるのは綴央くんならどんなに嬉しいことか…。
一度彼に告白してあっけなく振られた私に、そんな未来残っていないのだけれど。
せめて、友達として、生涯笑い合っていられる関係でいられれば。
なーんて。無理に等しいな、きっと。


「霞音、なんか食べたりしたい?」

猫とじゃれあい始めてから暫く経った頃、白猫を手放した綴央くんが私に尋ねた。

「んー、どっちでも。綴央くんは?」
「俺も今はいいかな。けど美味しそうなケーキあるから、あとでなんか注文しようぜ」
「うんっ」

知ってますか皆さん。
この方こう見えて甘党なんですよ。
生徒会長、野球部部長。眼鏡の力もあるかもしれないけど、いついかなるときもクールでかっこいい。
みたいな印象を持たれがちな、というか持たれているこの咲木綴央が。
ギャップって最高だよね。
これを2年女子生徒を中心として構成されている「咲木綴央ファンクラブ」は知らないんだろうなぁ…と思うと、特別仲良しというわけでもないし勿論彼女でもないのに、少し優越感。
彼のことをもっとよく知っている澪凪ちゃんや紫丹、涼宮くんなんかには、やっぱりちょっと、嫉妬しちゃうけど。




〔続〕


*---次回完結予定

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