JAM
Alice 小説 創作最高ランク : 6 , 更新:
君が好きだったロックバンドの曲が有線で流れると、もう会えなくなって暫く経つのに君を思い出してしまうのはまだ未練があるからで、君が好きだった時に戻りたいと思うのは傲慢だ。
気づかないふり、気づいてないふりの上手だった君はいつもうまく私を躱した。ああ、信じているのは私だけだったんだなあ。適当な約束を信じていたのも、ぼろぼろの約束に縋っていたのも、約束を破ってしまったのも私だったから。
25時。寂しさが身に染みて君に会いたくなって、泣きそうになってコンビニに行く。アディダスのサンダルを突っ掛けて何を買うまでもなくローソン。金髪ヤンキーの店員の湿った視線に手持ち無沙汰になってセブンスターを買う。君の好きだった煙草を買ってしまうのは未だ忘れられない証拠だ。
セブンスターの好きだった君は意地悪で嘘つきでいつもひとりだった。そんなところが嫌いだった。でも、そんな君すら好きだったし、そんな君に恋をしている自分が好きだった。
君に貰った部屋の合鍵は返してないまんまだ。もう会えることは無いって言うのに。
そうだよ、契約違反は私だった。触れてはいけない唇に触れてしまったのは私だった。でも、御都合主義だと言わずに許して欲しかった。それぐらいに君が好きだった。行かないで、と、冷めないで、と、いくら引き留めたって無駄で、でもまだ君に優しくして貰いたくて、君に相手して欲しくて君の抜け殻に縋った。ねえ、もう縋ったって遅いのかな。
もういいよ、私の傷口をなぞってくれるなら君じゃなくても。
25時。君といた頃はまるで幻みたいに曖昧でリアルだ。君のことを信じていた頃の私が悲しい。
君のドルガバの匂いがすると、振り返ってしまうのは怠惰。君じゃないって頭では分かってるはずなのにどこか期待してる自分が嫌だ。好きだった君の匂いが、愛おしくて切なくて許せない。もう赤の他人だというのに。ねえ、もう駄目かな、もう元には戻れないのかな。あの時の、冷たいナイフのような君の視線が胸に刺さって抜けてくれない。
夢のような話だと言うほど甘酸っぱくはないし可愛らしくない恋だった。どろどろした恋だった。もう二度と経験したくないぐらい全力で全てを捧げた恋だった。神様は私に一度も味方をしてくれなかった恋だった。味方は誰もいない恋だった。それでも私は君が好きだった。
夢なら醒めて欲しくなかった。これが夢ならどれだけ良かったかと何度も思った。君ごと全て忘れてしまいたかった。今更縋ったって遅いって、そんなこともう分かってるのに。
馬鹿みたいと私を笑ってくれたらいいよ、だって私は馬鹿だから。押してだめで引いてみたら引きすぎて、傷つけてしまったことを水に流して欲しいと言って。馬鹿だと笑ってくれ、惨めだと笑ってくれ。もう愛してくれないことなんて分かってるから、それならもういっそ嘲笑ってくれたらいい。私は運命の誰かが来てくれることを待つことにするから。
運命が無理なら、誰だっていいから。誰だっていいから、私の傷口をなぞってくれ。
JAM
るぅちゃの作品大好き~♡
これからも、がんばってね!
美里亜
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有難う➰💍
𝑨𝒍𝒊𝒄𝒆@充電43%🔋🔌
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