天使が堕ちるまで 20
小説 天使が堕ちるまで最高ランク : 17 , 更新:
俺は、天使が嫌いだ。
いっつもヘラヘラと笑って、
能天気で、
頭がお花畑で、
馬鹿で、
無能で、
なんにも出来ないくせにいばり腐って、
泣き落とししまくって、
嫌いだ。
大嫌いだ。
なぜ、俺も天使なのに、天使だったのに天使が嫌いなんだろう。
俺を嘲笑ったから?
俺が悩んでいる事に対しても能天気に答えたから?
俺の事を頭がお花畑だと言ったから?
俺を馬鹿にしてきたから?
俺を無能だと言ったから?
俺の事をなんにも出来ない奴と罵られたから?
俺が何かを言うと泣いて加害者に仕立ててきたから?
違う、どれも違う。
俺はあいつらの理不尽さには耐えてきた。
耐えられなかったのは、姉さんだ。
姉さんは、俺のために怪我してくれた。
悩んでくれた。
罵詈雑言を浴びてくれた。
日に日に姉さんが傷ついてって、
俺のせいだと思うと苦しくて、
悔しくて
俺が居なくなれば、姉さんは傷つかない?
俺が居るから
俺が出来損ないだから
俺が一人で何とか出来ないから
姉さんが傷つくの?
俺は、天使をやめた。
羽を引きちぎった。
熱湯を浴びてみた。
独りになって、独りでボロボロになって、
馬鹿みてぇって自分を自分で嘲笑って、
天使の輪が、崩れていった。
俺は、悪魔になった。
姉さんが欲しくて欲しくて堪らなくなった。
俺は禁忌を犯して、姉さんを堕として、今この世界に殺されようとしている。
むなしい人生だったな。
馬鹿な人生だったな。
あぁ、姉さん。ごめんね
あーあ、結局ずっと独りだったなぁ。
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